信州ドクターヘリは佐久病院の屋上へリポートを基地として、平成17年7月から長野県全域を対象として運航が始まりました。平成19年6月で丸2年が経過し、この間に500件以上の出動がありました。主な実績は下段のとおりで、やはり佐久・上小といった東信地域に多く、それ以外の地域へは全体の三分の一程度の出動でした。出動内容は救急現場への直接の出動が多く、さらに重篤な病気より大けがへの要請が多くありました。これはけがの方が病気より重症度がわかりやすいためと考えられました。
ドクターヘリのシステムを上の図に示しましたが、基本的には救急隊員が現場あるいは消防本部から佐久病院の通信センターに情報を入れることから始まります。一般の方からでは通報できません。これは救急隊によるヘリの離発着の安全確認が必要だからです。また、ヘリに乗った場合には原則費用はかかりません。行なった点滴や薬、往診料などは請求させていただきますが、それ以上の請求はしません。さらにヘリは有視界飛行のため、時間制限があります。原則8時30分から17時までです。日没時間の関係で夏冬では終了時問は多少違いますが、それなりの柔軟な対応をします。
次に機体について述べます。ドクターヘリは6人乗りです。パイロット、整備士、フライトドクター・ナースの4人が乗っており、現場で乗るのは通常は傷病者1人のみですが、緊急手術などが予想されるときなどにはご家族などに乗ってもらうこともあります。ヘリの中の装備はちょっとした集中治療室のようで、人工呼吸器や電気ショックの器械、超音波装置、各種薬剤などが備わっています。
ここで元来のドクターヘリの目的を3つあげてみます。1)医師・看護師による治療が現場から始まります。2)現場からの的確な情報により、搬送される病院では事前に準備をすることができます。3)50kmを20分足らずで飛行できるので、適切な病院により早く着くことができます。というように患者さんにとって二重三重のメリットがあります。
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