佐久総合病院の屋上へリポートを基地とした信州ドクターヘリが、平成20年9月14日に1000回目のフライトを達成しました。3年と2カ月半を要し、この間安全なフライトが行えたことをみんなに感謝したいと思います。
今ではあたり前のように毎日の運航がされておりますが、始めた当初は院内各部署への連絡網をはじめ、皆さんにご迷惑をかけることが多々ありました。しかし、ヘリスタッフを中心に多くの部署の方の協力をいただき、徐々にその体制を整えていき、今では出勤時も非常にスムーズに行えるようになりました。
ここで、この1000回フライトを振り返ってみます。最初の要請は平成17年7月9日の軽井沢消防署でした。なかなか要請がかからず、じりじりとした9日間でした。その日は2回の出動がありました。1000回目は、平成20年9月14日で、依田窪南部消防署からの要請でした。この月は32回の出動がありました。
月別にみてみると、これまで一番出動が少なかったのは11件、最も多かったのは平成19年3月の48件でした。信州ドクターヘリの特徴の一つは、季節により要請数に変動があることです。信州は観光県(?)なので夏・冬と5月のGWに要請が多くあります。特に冬場はスキー・スノーボード外傷で、県下各地のスキー場へ出かけています。普通スキー場は町中から離れており、交通の便も十分ではなく、ドクターヘリの登場は願ってもないことだったわけです。ちなみ出動件数が30回を超えたのは1〜3月と5月、7〜9月です。
次に、地域別の出動件数をみてみます。県下を10地域に分けてみました。何といっても佐久・上小という東信地域がダントツです。これに続くのは多くのスキー場を抱える大北地域、昔からヘリ活用がなされていた飯伊地域です。市町村別にみてみますと、トップ5は上田市168件、川上村89件、軽井沢町69件、白馬村62件、立科町58件でした。東信地域以外では、北信地域の山ノ内町21件、大北地域の小谷村22件、上伊那地域の伊那市26件、飯伊地域の飯田市および大鹿村の各19件が目立ったところです。
残念ながら全県下をくまなくとはいきませんが、徐々に範囲を広げてきています。ちなみにヘリは条件が良ければ時速200km以上で飛行できますが、さすがに南の端までは40分以上かかります。長野県の周りにはドクターヘリを持っている県がいくつもあります。お互いに助け合いながら運航できれば、よりよい活動ができます。これは今後の課題です。
出勤した内容をみてみると、救急現場に行ったのが714件、病院から別の病院に運んだのが218件、途中キャンセルが68件でした。その疾患分類は、外因性いわゆるケガややけどが60%、内因性いわゆる病気などが40%でした。現場で重症度がわかりやすい外因性に多く呼ばれていました。外因性では四肢骨盤、頭部の外傷で半分を占めていました。内因性では心大血管系、脳卒中系で70%近くを占めていました。
今回1000回フライトを無事に達成できたことは我々にとって一つの大きな成果ではありますが、救急医療崩壊が叫ばれ、大きな災害の頻発する現在、ドクターヘリの役割も重要度が増してきています。道路事情に関係なく短時間で現場に出向き、医師・看護師らを現場に投入する。このすばらしいシステムを大いに活用していただきたいと思います。
最後になりましたが、このドクターヘリシステムを支えてくださっている皆様に感謝の意を捧げまして終わりにしたいと思います。本当にありがとうございました。
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