佐久総合病院 本院 【基本構想(改訂版)】 H.26 7月

 佐久総合病院本院の基本構想について院内で議論を重ね、これまで「基本構想(案)」として提示していたものを修正し、「基本構想(改訂版)」として、下記の通り臼田地区住民説明会(H.26 7月)にて説明させていただきました。

Ⅰ.佐久病院理念・行動目標

理   念

佐久病院は「農民とともに」の精神で、医療および文化活動をつうじ、住民のいのちと環境を守り、生きがいある暮らしが実現できるような地域づくりと、国際保健医療への貢献を目ざします。

2004年127日 改定

 

行動目標

1.第一線医療の充実と高度専門医療の向上をはかり、地域完結型医療体制の確立を目指した病院再構築を実現します。

2.農業と地域社会の問題を直視し、メディコ・ポリス構想の精神を継承して、地域の内発的発展に協働します。

3.研究と教育は病院の重要な役割であることを自覚し、佐久病院らしい医師教育、職員教育および研究活動の充実をはかります。

4.プライマリ・ヘルス・ケアを包含する農村医学の考え方を学習し、実践するとともに、発展途上国の国際保健医療に貢献します。

5.患者さんを第一に考え、医療の質向上および患者安全、職員満足の向上を目的とする活動を推進します。

201141日 改定

 

Ⅱ.地域のニーズの分析

人口動態の将来推計によれば、佐久医療圏の人口は減り続けると予想されている。平成47(2035)年までに、65歳未満の人口は3割減少していく一方、75歳以上の後期高齢者は、3割増加する。高齢化率も40%弱まで上昇すると考えられている。
この人口動態の変化によって、医療需要、介護需要は伸びていくことが推定される。注意が必要なのは、医療の需要の伸びは、特に高齢者の医療においてである。介護の需要の伸びとともに、高齢者の医療、介護のサービスの充実が本院に求められている。
一方、都市部においては、高齢者の増加はさらに深刻であり、介護サービスの伸びが需要に追い付かず、介護難民が発生することが心配されている。その中で、移住をする方が増えてくるとも考えられる。つまり、医療や介護のサービスが充実した地域に人口が集中し、充実していない地域の過疎化が加速する可能性がある。身近な第一線医療を担う本院の役割として、保健・医療・介護を充実し、暮らしやすい地域をつくる必要があるとともに、それによって過疎化を食い止める、あるいは人口増をはかることができるかもしれない。
また、日本における年間死亡者数は、平成42(2030)年までに約40万人増えると考えられており、看取りに対するサービスの充実も本院の重要な課題である。
以上の地域のニーズの分析より、以下の8つの重点項目を掲げる。
 
① 1次、2次救急医療、災害医療の確保
② 高齢化に対応した医療の再編と専門外来の確保
③ 増加する介護需要(3割増)への対応
④ 保健・医療・福祉・介護職員の確保
⑤ 佐久広域南部地域への効率的な保健・医療・福祉サービスの提供
⑥ 増加する看取りに対応する機能
⑦ 保健予防及び健康づくり活動への取り組み
⑧ 住民との交流、地域づくりの再構築

Ⅲ.病院機能

本院の病院機能を佐久医療センターの病院機能と比較すると、佐久医療センターは「キュア(治療)」を中心とした病院であり、本院は「キュア(治療)」をしっかり行うのみならず、ケア(思いやり・援助)の心とリハビリテーション(回復・再建・復興)の精神をもって、患者・家族・地域を支援する病院である。
 
1) 診療内容
l 1次・2次救急医療を提供し、重篤な救急患者に対する一時処置を行う。
l 地域のニーズに即した一般医療機能を中心とした病院とする。
l 佐久総合病院が歴史的に培ってきた総合力をさらに高め、患者さんを中心に職種を超えたスタッフが自在に集まり、必要とされる医療を提供する。
l 高齢化に対応した医療の再編として、各診療科の連携した総合的な外来・病棟での診療を行う。
l 専門外来の確保を行う。
l 災害時にも、継続可能な診療機能を確保する。
 
2) 地域医療への取り組み
l 各診療科が地域の医療機関と連携して「いつでも・どこでも・だれでも」必要な医療サービスが受けられる体制を目指すとともに、在宅部門では地域ケア科を中心に、「命に対する援助と生活に対する援助」の両面からのケアを行う。
l へき地医療拠点病院として、南佐久郡の国保診療所をはじめ、医師不足地域への医師派遣機能をおく。
l 人材バンクを設立し、不足地域への看護師、保健師、ケアマネジャーなどの派遣を行う。
 
3) 研修・教育・研究機能
l 農村医学を継承・発展させ、地に足のついた研究活動を奨励する。また医師、看護師をはじめとする医療技術者の教育や研修の場として充実した機能を備える。
l 家庭医・総合診療能力を有する医師の養成を目指し、研修医の外来・病棟・諸検査研修等、様々な疾患と病態に対応できる研修・教育機能を実現する。プライマリ・ヘルス・ケアを包括的に研修できる教育機能を備える。
l 職種毎の研修のみに留まらず、他職種・他施設の医療者を交えた講習会・研修を行い、地域全体としてのスキルアップに努める。
l 医療需要、介護需要の増加に対応できる、医療職や介護職の育成に努めるとともに、テクノエイド(介護機器)支援室を中心に、負担の少ない看護、介護手技の普及に努める。
 
4) 提供する医療の質
l 安全で質の高い医療を迅速に提供し、患者満足度・職員満足度がともに高い病院を目指す。
 
5) 地域社会との関係
l 地域住民の皆様との交流および文化活動をつうじて、ともに地域の発展に貢献する関係を築き、開かれた病院とする。
l 病院のあり方・地域のあり方・健康のあり方に関し、地域住民との対話ができる仕組みをつくる。
l 地域の「健康祭り」「健康合同会議」「地域医療懇談会」をともに継続・発展させる。
l 「医・職・食・住・友・遊・学・農(※)」がそろった地域づくりに協力する。
 
6) 社会的な使命と役割
l 医療の実践を通じて得られた知見に基づき、情報を発信し、皆がより健やかに暮らすことができる社会づくりに貢献する。
l 新病院は環境保護技術を取り入れ、環境負荷に配慮した病院づくりのモデルを提示する。
 
7) 糖尿病、慢性腎臓病の診療
l 5疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)に取り上げられた糖尿病、新たな国民病と注目されている慢性腎疾患の診療を充実する。
l 運動スタジオ、集団指導室、フットケア室を整備した、腎・糖尿病外来を整備する。
 
8) 保健予防及び健康づくり活動への取り組み
l 地域健康管理科を中心に、健康診断・健康相談・健康教育の充実を図り、潜在疾病の早期発見や予防に注力する。
l 常設検診を新たに整備するとともに、1日ドック、日ドックを再編し需要に応えられる体制を構築する。
 
9) 人生の終末期に寄り添い支える医療の提供
l 増加する看取りに対応する機能として、がんのみならず、あらゆる疾患、あらゆる年齢の終末期において、ご本人の希望に応じた場所(自宅・施設・病院)で適切な医療を提供する。
 
    10)福祉施設等の設立支援・運営支援と、福祉のまちづくりへの協力
l 増加する介護需要(3割増)への対応として、高齢者の居住系施設や認知症の方のグループホーム、精神障害者のグループホームやケアホーム、がん等の終末期医療を行う在宅ホスピス機能を持つ住宅の設立支援や運営支援を行う。
l 重症心身障害児等の通所看護や宿泊機能を持つ施設等の設立・運営を目指す。
l 現在行っている障害者の通所授産施設やNPO組織の支援をはじめ、障害者雇用を積極的に支援する。
 
  1)国際保健医療への貢献
l 発展途上国を中心として海外で活躍する医療従事者を育成する。
l JICA等からの海外医療従事者の受入れ研修を行う。
l 国際農村医学に対して研究を進め、新たに得られた知見を積極的に発表する。
 
  1)総合医療・保健情報システム機能
l 佐久総合病院グループ内で電子カルテの情報、健康診断データとドックデータの情報を共有する。
l 地域医療連携を推進し、地域の医療機関との診療情報の共有化を目指す。
                                                              
  1)文化創造機能 
l 病院祭、夏季大学をはじめ、様々な病院行事を地域住民の皆様との文化創造の場とする。
l 労働組合の文化・スポーツ活動をつうじ、地域とともに佐久地域の文化の発展に貢献する。
                                                    
  1)佐久総合病院グループ全体を統括する本院機能をおく。
 
 
(※)「医・職・食・住・友・遊・学・農」
      医・・・「地域医療」
      職・・・「職業」
      食・・・「安心安全な食事」
    住・・・「住宅・居住系福祉施設」
    友・・・「友人」
    遊・・・「遊び」
    学・・・「学び」
    農・・・「農業」

Ⅳ.本院の7つの特徴とそれらをつなぐ支援機能

1)総合診療
l 診断のついていない初診患者を、各科専門医と協力して、総合的に診療する。
l 家庭医・総合診療能力を有する医師の養成を目指す研修医教育を担う。
 
2)高齢者に配慮した診療連携
l 今後増加するお年寄りがすこやかに長寿を全うできるように、様々な疾患を抱える高齢者を総合的に診療する。
l 内科、神経内科、心療内科、脳外科、泌尿器科、整形外科などが、各診療科の垣根を越えて連携し診療する。
 
3)小児診療
l こどもたちがすくすくと育つように、佐久医療センターと連携しながら小児の保健予防活動を行い、発達過程におけるさまざまな問題に対処するとともに、小児一般診療を行う。
l 発達外来、小児精神外来、心理療法、小児言語療法が一体となった外来運営を行う。
 
4)こころのケアセンター(精神科外来、精神科病棟、精神科デイケア、精神科訪問看護)
l 地域の方々が、その人らしく地域の中で暮らせるようなこころのケアを提供する。
l 精神科外来、認知症疾患医療センター外来、精神科病棟、精神科デイケア、精神科訪問看護が有機的に連携した体制を構築する。
 
5)地域包括ケア                                                                                                                                                                                                           
l 住み慣れた地域で生活が続けられるよう、様々な地域の医療・福祉サービスと連携した地域ケアネットワークを構築し、必要なケアを提供する。
 
6)健康づくり活動
l 「予防は治療にまさる」をモットーに健康なときも、病気になっても、障害をもっても、健康を維持管理し、発展させるお手伝いをする。
l 地域住民と職員の健康づくりに資する場を提供し、健康な地域づくり、職場づくりに貢献する。
 
 7)腎・糖尿病外来
l 糖尿病や高脂血症、慢性腎臓病などの診療と看護指導、食事指導や運動指導を行う。
l 集団指導室、運動スタジオ、健康食レストランを利用し、具体的、実践的な指導を行っていく
 
支援機能 
)リハビリテーション総合支援センター
l 損なわれた生活機能(心身機能の不具合、生活活動の制限、社会参加への制約)を回復して“その人らしい人生”を取り戻すために、急性期・回復期・生活期~終末期のあらゆる局面において、各診療機能を支える基盤として、多職種によるリハビリテーション専門チームで総合的に支援する。
 
2)テクノエイド支援室
l テクノエイド(補助器具・介護支援機器・福祉用具)の管理、利用者に合わせた選択と調整を行うとともに、テクノエイドを利用した負担の少ない看護・介護技術を普及する。
l 佐久病院グループにおけるテクノエイド支援の拠点として活動するとともに、外部の研究機関や企業と協力して技術・技術システム開発にも積極的に参画する。
 
3)総合相談センター
l 医療・介護・福祉に関する相談に幅広く対応し、各外来・病棟をつなぐ役割を担う。また、医療と介護の連携機能をもつ。

本院の7つの特徴とそれらをつなぐ支援機能(1.6MB)

Ⅴ.診療機能

○総合診療(内科系、外科系) ○専門外来(慢性維持透析・生活習慣病・精神・小児など)
○リハビリ  ○日帰り・短期入院手術  ○在宅診療

Ⅵ.病院概要

1)病床数 309床(人間ドック含む)

      

2)外来規模

想定外来患者数 900/日(目標)

 

3)診療科目(標榜診療科)

内科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、血液内科、代謝・内分泌内科、腎臓内科、神経内科、心療内科、精神科、小児科、麻酔科、救急科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、歯科口腔外科、歯科、矯正歯科、外科、呼吸器外科、心臓血管外科、消化器外科、乳腺外科、小児外科、肛門外科、整形外科、脳神経外科、形成外科、皮膚科、アレルギー科、放射線診断科、病理診断科、臨床検査科、リウマチ・膠原病内科、感染症内科、ペインクリニック外科

(院内標榜)総合診療科、地域ケア科、健康診断科

 

  4)医師数

   約60

 

5)諸指定

  ・認知症疾患医療センター  ・へき地医療拠点病院  ・臨床研修指定病院

  ・高次脳機能障害拠点病院  ・救急告示病院  ・病院群輪番制病院

  ・エイズ治療拠点病院

 

 6)併設施設

・老人保健施設  ・訪問看護ステーション  ・やちほの家(宅老所)

・居宅介護支援事業所  ・医師・看護師宿舎  ・研修医研修棟

・保育所

 

 7)関連施設

・健康管理センター  ・看護専門学校  ・農村医学研究所

・農村保健研修センター  ・農村保健教育ホール

・東洋医学研究所

本院工事スケジュール

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佐久総合病院 増築第2期工事 工程表
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