佐久病院60周年記念誌

おかげさまで60年

 終戦前年の昭和19年に創立された佐久総合病院は60周年を迎えました。人間でいえば還暦にあたりますが、わずか20床、医師2人の出発から、老健までを含む全病床数は1,190床、職員総数1,614名、常勤医師数188名を数えるまでになりました。

 いずれの時代においても地域に密着し、そのニーズを見極めながら、住民の立場にたった医療を、いち早く取り入れてきたのが佐久総合病院の歴史です。

 還暦とは60年で再び生まれた年の干支に還ることとされています。この期に、今一度農村医療の原点に戻り、「農民とともに」のスローガンのもとに、あらたな地域医療の創生に邁進したいと考えています。

 ここに60周年記念行事の一環として記念誌をつくりました。佐久病院の歴史をふりかえり、これからの佐久病院のあり方を考えるべく院内外数。多くの皆様から文章をお寄せいただきました。また佐久病院創立50年から10年間の活動を写真で綴りました。

農村医療の原点

 佐久病院に働く大部分の人がまだ生まれていないかった60年前、佐久病院は創立されました。その当時の精神は、まさに「農村医療の原点」といえるもので、今を生きる私たちは、多くの先輩たちが歩んだ歴史の中からそれを学び、初心を忘れないようにしなければなりません。

 佐久病院の農村医療への取り組みの記録も、絶版となったり、残っていないものも多く、再録は困難な作業でしたが、多くの若い人の熱意で「農村医療の原点」は完成しました。

 若月名誉総長を始め、何人かの方の論文、評論や、「若月塾」での講義録、「農村医療」から選んだ十数項目も載せられています。若い人も読みやすく、また、わかりやすく、農村医療の学習の格好のテキストとなるはずです。

 この本に収録されているのはすべての職員自身が書いた実践の記録です。佐久病院の創成期に活躍された先輩たちが、今よりももっと困難な時代に、怒り涙を流しながらも、笑いを忘れず、したたかに生き抜いた様子が書かれています。

 また、佐久病院の特徴的な活動の一つ、演劇の脚本も一部再録しました。若月名誉総長の初期の作品「希望」「はらいた」「ほけん証」、小諸厚生総合病院名誉院長坂本和夫先生の「腑分け」を載せました。