診療情報管理課
診療情報管理課について
診療情報管理課の歴史
診療情報管理士とは
【診療情報管理課について】
診療情報管理課とは、診療において発生した入院診療録記録(カルテ)と情報を管理している課です。入院診療録(カルテ)は各患者さんに対し1入院1カルテ、永年保存の為、膨大な量の入院診療録(カルテ)の管理・保管を行っています。過去10年分のX線フィルムの管理・保管も行っています。 また、入院診療録(カルテ)よりさまざまな情報を読み取り、診療情報管理システムへ登録を行っています。
それらの情報に加え、分析ソフトや電子カルテ内のデータを抽出し、全職種・全職員に対し診療情報の提供を行っています。
2006年のDPC(入院医療費包括支払い制度)の導入に伴い、入院診療録(カルテ)の中から、治療内容などを読み取り、当該入院期間において治療の対象となった傷病の中から医師の決定した『医療資源を最も投入した』傷病名と実際に合致しているかの判断をするという業務を医事課と連携しながら行っています。
また、外科・循環器のNCD手術登録や追跡調査、心臓血管外科手術リスク評価、血液疾患登録、がん登録など専門性の高い多種の業務を担っています。これらのデータのフィードバックも行っています。
さらに各分野の月毎の算定率算出など経営改革のベースとなるデータの作成やQI(医療の質)の抽出・分析、現場へのフィードバックを行っています。
【診療情報管理課の歴史】
1992年 :スタッフ2名・入院カルテの保管状況調査
1993年 :「病歴管理委員会」・「病歴管理(小委員会)」発足
1994年 :病歴管理室3室確保
1995年 :病歴管理室開設・コンピューターに登録開始
職員構成5名(パート2名)
1995年 :診療録管理室と名称変更
1999年 :診療録管理科と名称変更
2003年4月:診療情報管理課と名称変更
2006年4月:入院医療費包括支払い制度 DPC導入
2009年4月:管理部所属から診療協力部所属へと変更
* 診療情報管理科に名称変更
2011年4月:がん登録担当部門(サーベイランスセンター)設置
2012年1月:電子カルテ導入に伴いスキャンセンター開設
2014年3月:診療協力部所属から管理部所属へと変更
*診療情報管理課に名称変更
STAFF配置:15名のSTAFFで業務を行っています(2016.04現在)
(内訳) 本院:診療情報管理士 2名 助手 3名
医療センター:診療情報管理士6名 助手2名
サーベイランスセンター 診療情報管理士1名 助手1名
詳細な業務内容は以下の通りです。
• 入院診療録(カルテ)の管理・保管・貸出・返却・アリバイ管理
• 入院診療録の量的(すべて記載がされているか)・質的(間違った情報が記載されていないか)点検
• 国際疾病分類ICD-10による疾病コーディング
• 手術名処置名登録
• 診療情報の加工・分析・編集(統計処理)
• 診療情報提供
• 退院患者統計
• 入院診療録(カルテ)の書式管理
• X線フィルムの管理・保管・貸出・返却
• 院内がん登録・全国がん登録・臓器がん登録
• 院内クリニカルパスの作成・管理
・DPCコーディング業務
・DPCデータを用いた分析
・NCD手術登録業務(外科手術症例・循環器PCI症例)
・TAVI(経カテーテル大動脈弁置換術)レジストリ登録
・ステントグラフト追跡調査
・J-MACS追跡調査(VAD症例)
・心臓血管外科手術リスク評価
・血液疾患登録
・指導料等算定率向上に対する分析
・QI(医療の質)抽出・分析
・広報への参画(診療情報管理課が持つ情報を院内・院外へ伝える)
・スキャン業務
・電子カルテ内データの活用(DWH)
【診療情報提供】
個人情報保護・情報漏洩防止の為、診療情報管理委員会委員長承認の情報提供申請書への記載をお願いしています。
以下が診療情報管理課にて診療情報管理システムへ登録を行っている主な情報です。
・ 入退院情報 :診療科・病棟・入退院日・主治医・入院目的・転帰・紹介・住所など
・ 病名 :主病名・併存病名・入院後発症病名・既往病名
・ 手術処置 :手術名・術式コード・手術日・執刀医・麻酔の種類など
ほかにもDPCデータを使った分析ソフト(EVE)を導入し幅広い角度からみた情報の抽出が可能になっています。同システムの導入を受け、以前は医師からの依頼がほとんどだった情報提供依頼が近年は多職種から依頼されるようになりました。
さらに電子カルテ内のデータを活用し、細かな要望にも応えられるようになりました。
また、医療センターでは経営課題分析支援ソフトMedical Codeを使用し、算定項目を分野毎に毎月算出し関係部署へ報告しています。
【スキャンセンターについて】
電子カルテ導入後も診療記録全てを電子化することは難しく、患者さんの直筆による署名がある同意書や施設からの紹介状などはスキャンを行うことで電子化しています。
毎日各部署から提出される書類を回収し、書類の分類・患者名・枚数を確認しスキャン。
スキャン後、実際の書類とスキャンされたデータが合致しているか全件確認し登録するという作業を行っています。 スキャンが必要な書類は1日平均本院:約700枚・医療センター:約2000枚あります。 登録内容の不備がないよう正確な登録業務を心がけています。
また、医療センターでは書類の内容確認時、【入院診療計画書】については量的(すべて記載されているか)点検も行っています。
本院では、紙の入院診療録(カルテ)の貸出・返却・アリバイ管理なども行っています。
両施設ともに手術DVDの管理・貸出・返却・アリバイ管理も行っています。
他にも日々スキャン業務だけでなく診療情報管理の業務も併せて行っています。
【診療情報の6つの価値】
診療情報は、病院内だけでなく、多方面で活用されます。
病院管理学創設者Dr.MacEachernは以下の診療情報の6つの価値を挙げています。
1. 患者にとっての価値:診療記録は、医療従事者が適切な医療を提供する為、その過程を記録する。患者様と医療従事者が共同で疾病を克服する医療のあり方が求められる今日、患者様ご自身が疾病の状態や治療内容などについて理解する資料となる。
2. 病院にとっての価値:適正な医療の安定的提供のためには、医療機関の適正な運営が重要であり、その為の診療情報の活用は大きな意義を有する。
3. 医学研究上の価値:診療情報を統計学的に抽出することで、診療の結果や有効性について評価・分析を行うことができる。それらを医学研究のデータベースとして活用することにより、臨床研究の発達へ寄与することが可能になる。
4. 医学教育上の価値:診療録は、医学生の教育や、医師の卒後教育においても貴重な資料となる。自身の行った医療を検証し、分析することにより自身の治療成績を知ることが可能である。
5. 公衆衛生上の価値:診療情報・診療記録の中には、行政上の調査、統計に際して、収集、作成されるものがあり、これらは、公衆衛生の向上などの行政目的のため活用されている。
6. 法的防衛上の価値:診療録などの診療記録は、訴訟の場では、唯一の客観的証拠となる。
医療側に知識や情報の偏在が起こりうる為、患者様側が訴訟を遂行するにあたって不可欠の資料となっている。
このように診療情報には様々な活用方法がある中で、患者様のプライバシー・個人情報の保護、無断使用による情報漏洩を防ぐなど、厳重に管理されなければなりません。わたしたちは日々そのことを念頭に置き、診療情報を扱っています。
【診療情報管理課の想い】
わたしたちは毎日入院診療録(カルテ)に触れ、様々な情報を読み取り、登録業務を行っています。近年、業務内容が大きく変化していますが、根源はやはり『診療情報の管理』であるという想いで日々業務を行っています。
これからも、診療情報を様々な角度から抽出・分析し、根拠に基づいた効果的で質の高い医療へつなげていけるよう、有効活用していきます。