心臓の左右の心房を隔てている心房中隔という壁に空いている穴が卵円孔です。胎児期は酸素と二酸化炭素の交換を胎盤で行っているため、心臓の右心房に入った血液は右心室と肺には向かわず卵円孔を通ってそのまま左心房へ流入し左心室から全身へ送られます。卵円孔は生後自然に閉じますが(図1)、成長しても完全には閉じずに残っている場合があります。この状態を「卵円孔開存」(PFO:Patent Foramen Ovaleの略)といいます。
通常は症状もなく治療の必要もありませんが、まれに卵円孔が開存しているため右心房から左心房に血液が直接流れ込み、その血流にのった血栓(血のかたまり)が脳に達することで脳梗塞を起こす方がおられます(図2)。
図1:出生後、卵円孔は自然に閉じることが多い
図2:卵円孔が開いたままの場合、血栓が卵円孔を介して脳へ到達することがある
卵円孔開存(PFO)が関与したと考えられる脳梗塞の再発予防として、「AMPLATZER™ PFOオクルーダー」を心臓内に留置し卵円孔を閉鎖する治療があります。足の付け根からカテーテルという細い管を入れて行う治療のため、開胸の必要もなく体への負担は少なくてすみます。
オクルーダーが心臓内に留置された図
オクルーダー:形状記憶合金のワイヤーを編み込んだ閉鎖器具
アボットメディカルジャパン画像提供
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