
東信地域初、佐久医療センターで始まる「切らない乳がん治療」
早期乳がんに対するラジオ波焼灼療法(RFA)を開始します。
—新たな低侵襲乳がん治療法の導入について—女性のからだに優しい、先進のラジオ波治療。
佐久医療センターでは、乳がんに対する新しい治療法として、ラジオ波焼灼療法(Radiofrequency Ablation Therapy:RFA)を2025年12月から開始できる体制を確立いたしました。長野県内でこのRFA治療を受けられるのは、当院を含めて5施設のみとなっています(東信地域では佐久医療センターのみ)。この治療法は、乳房を切除することなくがんを治療できる低侵襲な治療選択肢です。従来の乳がん治療(手術)では、乳房の形が変わってしまうことが患者さんにとって大きな精神的負担でしたが、RFAは乳房を切らずに形を損なうことなく治療できるため、QOL(生活の質)を維持できます。
1.ラジオ波焼灼療法(RFA)とは ~安心・低侵襲な治療~
ラジオ波焼灼療法(RFA)とは、専用のニードル型(細い針状)の電極を腫瘍に刺し(図1)
ラジオ波帯の電流を流すことで発生するジュール熱(70℃以上)を利用して、がん病変組織を凝固・焼灼し死滅させる治療法です(図2)。
※図1.ラジオ波焼灼療法の穿刺針(コヴィディエンジャパン株式会社製品情報ホームページより)


※図2.ラジオ波焼灼療法のイメージ(左図:厚生労働省HP 医療技術の概要図 早期乳癌へのラジオ波熱焼灼療法)
RFAは、すべての方の乳がんに適用されるわけではありません。最大限の根治性を確保するため、以下のすべての適格基準を満たす限局性早期乳がんのみが、保険診療の対象となります。
ご自身の病変が適応となるかどうかは、必ず当院の専門医にご相談ください。
【適格基準】
・針生検で組織学的に通常型の原発性乳癌であること
・腫瘍の大きさが造影MRI検査、乳腺超音波検査を含む画像検査で長径1.5cm以下の単発腫瘍であること
・腫瘍の皮膚浸潤や陥凹などの皮膚所見が認められないこと
・今回の乳癌に対して治療を行った既往がないこと
・年齢が20歳以上の女性であること
・RFA後に放射線治療を行うことが可能なこと
・全身麻酔が可能であること
・術前診断で腋窩リンパ節に転移がないこと
3.ラジオ波焼灼療法(RFA)の流れ
Step 1:治療の実施(入院)乳がんに対するRFAは、通常の乳がん手術と同様に手術室にて全身麻酔下で行われます。通常、まずわきの下のリンパ節に対するセンチネルリンパ節生検が行われます。熱傷予防の処置をしつつ焼灼が行われ、通常1泊2日~2泊3日で退院となります。
Step 2:術後放射線治療 焼灼術終了後(約1~2カ月後)に治療を行なった乳房に対する術後放射線治療を受けていただきます。
Step 3:がん遺残の確認 放射線治療終了後約3カ月(生検を含む)・6カ月・12カ月と経過した時点で、がん細胞が完全に死滅しているかを確認します。
4.ラジオ波焼灼療法(RFA)をご希望の方々へ ~女性のからだに優しい、先進のラジオ波治療~
保険診療としてRFAを行うには、実施する術者や施設が日本乳癌学会から認定されていることが必要です。当院乳腺外科では日本乳癌学会から、患者さんが安心して治療を受けられる、経験のある医師と治療にかかる体制が整った施設として、乳がんのラジオ波焼灼療法の実施医療機関として認証を受けています。
従来の標準的な手術療法とRFAによる非手術治療の両方の特徴を丁寧にご説明し、患者さんが納得されたうえで最適な乳がん治療をお選びいただけるよう、全力でサポートいたします。自分がラジオ波焼灼療法の適応になるのかどうか知りたい、ラジオ波焼灼療法を検討したいと考えられている患者さんは、お掛かりのホームドクターにご相談の上、佐久医療センターまでご紹介いただきご相談ください。今後も、患者さんとともに乳がんの根治をめざして取り組んでまいります。
※参照
日本乳癌学会 https://www.jbcs.gr.jp/modules/citizens/index.php?content_id=1
厚生労働省厚生労働省HP 医療技術の概要図 早期乳癌へのラジオ波熱焼灼療法https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001428272.pdf

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