緩和ケア

1・緩和ケアについて

 がんの治療における様々な場面で、QOLを低下させる症状や療養上の問題が出現してくることがあります。それには、痛みなどの身体の症状だけでなく、不 安な気持ちや気分の落ち込みなどといった心の痛み、金銭的な問題や家庭での役割の喪失といった社会的な痛み、生きる意味や存在価値を見出せなくなるスピリ チュアルペインといわれる痛みも含まれます。これらの様々な種類の痛み(苦悩)に対処していこうとするケアのことを緩和ケアといい、けっして最期の時を迎 えるためのケアではありません。また緩和ケアの対象はがんを患った患者さまだけではなく、同じように痛みを感じていらっしゃるご家族も含まれます。 

2・痛みをやわらげる

  がん患者の約80%が痛みを体験するといわれています。痛みは身体にとってストレスになり、体力を消耗します。適切な方法で痛みをとることで、睡眠や 食事を取ることができ、活動の幅を広げることができるようになります。また、痛みを我慢していると徐々に痛みが悪化し、余計に多くの痛み止めの薬が必要に なるともいわれています。
痛み止めの薬にはいろいろな種類があり、痛みの性質や強さなどに応じて使い分けます。よく使われる薬としてオピオイド(モルヒネなど)があります。昔 は恐い薬と思われていましたが、現在では安全で非常に有効な薬であると認められています。一番最後に使う薬であると思われている方もいらっしゃいますが、 それは誤解です。オピオイドは病状が悪いから最後に使う薬ではなく、強い痛みに対して使う薬です。オピオイドを使い始めたからといって病状が悪いというわ けではありません。痛みを我慢せずに、生活に合わせて早めに痛み止めを調整し、苦痛な症状をコントロールしていく方が良いでしょう。

3・緩和ケアチーム

  当院は、地域がん診療連携拠点病院の指定を受けて、がんの治療を積極的に行っています。同時に、一般病院での緩和ケアサービスの提供と緩和ケアの推進をめざして平成18年4月より院内緩和ケアチームが活動を開始しています。
主な活動の内容は、痛みなどの症状の緩和、患者さまやそのご家族の心の痛みなどの緩和、患者さまやそのご家族が希望する療養の場を選択する支援などです。
具体的には、主治医から依頼を受けて緩和ケアチームの担当者が、定期的に患者さまのお部屋を訪問します。診察を通して、身体的な症状の緩和、心の痛み など精神的な症状の緩和、患者さまとそのご家族が希望される療養場所の選択などの問題について、主治医、病棟看護師、ソーシャルワーカーなどと協力し、解 決していくお手伝いをさせていただきます。

4・緩和ケアチームのスタッフ

●痛みなどのからだの症状の緩和、在宅訪問診療の支援を担当

    医師(総合診療科) 山本 亮

●痛みを緩和する手段として神経ブロックを担当

    医師(麻酔科) 深沢 正之

●緩和ケアを担当

    看護師(がん性疼痛看護認定看護師) 大塚 菜美

●薬に関する情報提供や調整を担当

    薬剤師 三浦 篤史

が担当しております。 患者さまやご家族が必要としている緩和ケアを行うお手伝いをさせていただきます。

 また、院内において緩和ケアの意識を高めるために、研修医向け・看護師向けの勉強会を開いています。緩和ケアについて知りたいことがあれば、いつでも病棟スタッフや緩和ケアチームにご相談してください。