放射線治療
特色
放射線治療は手術、抗がん剤とともに“がんの3大療法”とされています。放射線治療は手術と同じく、がんとその周辺に対する局所治療です。局所療法のため 副作用が少なく、それも大部分は治療後一か月から二か月で自然に治まります。また手術と異なり臓器を摘出しないため、身体の負担が少なく、臓器を温存することができます。通常、放射線治療の適用となる疾患はほぼ全ての悪性腫瘍です。
また、放射線治療は外科手術、化学療法、ホルモン療法などと組み合わされ、集学的治療の一環として利用される場合もあります。身体にやさしい治療のため、高齢者や手術ができない方も受けることが出来、生活の質を維持できる治療と言えます。
放射線治療は100年以上前からがん治療に用いられ、長い歴史があります。近年放射線生物学や放射線治療機器、コンピューター等の発達により、急速に進歩しています。周囲の正常組織にはできるだけ放射線をあてず、がんにはより多くの放射線を照射することが可能となっています。これにより副作用の少ない放射線治療が実現しています。現在行われている治療技術として、画像誘導放射線治療(IGRT)、定位放射線治療(ピンポイント照射)、強度変調放射線治療 (IMRT)などの外照射や画像誘導小線源治療(IGBT)などの小線源治療があります。また、それ以外には陽子線治療や重粒子線治療などの粒子線治療や、ホウ素捕捉療法(BNCT)などの特殊な放射線治療もあり、特定の施設で治療を受けることが出来ます。
放射線治療件数
原発部位別 | 件数(件) | |||
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | |
脳・脊髄 |
5 |
14 | 12 | 5 |
頭頚部 | 13 | 21 | 23 | 25 |
肺・気管支・縦隔 | 81 | 94 | 76 |
72 |
乳腺 | 107 | 133 | 133 | 131 |
食道 | 19 | 21 | 12 | 9 |
胃・小腸・結腸・直腸 | 29 | 30 | 40 | 25 |
肝・肝内胆管・膵 | 8 | 12 | 8 | 6 |
婦人科 | 30 | 33 | 29 | 18 |
泌尿器(前立腺を除く) | 13 | 7 | 18 | 14 |
前立腺 | 74 | 78 | 71 | 94 |
骨髄・リンパ節 | 27 | 33 | 15 | 26 |
皮膚(外陰部を除く)・骨・軟部組織 | 4 | 1 | 11 | 8 |
良性 | 2 | 0 | 2 | 2 |
原発部位不明 | 2 | 3 | 0 | 0 |
その他 | 3 | 6 | 1 | 1 |
合計 | 417 | 486 | 451 | 436 |