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フローダイバーター治療

フローダイバーター治療

フローダイバーター治療

フローダイバーター(Flow Diverter)治療について

■いままでの脳動脈瘤の治療
脳動脈瘤は、脳の血管にできる「こぶ」のようなふくらみで、破裂するとくも膜下出血を引き起こし、命に関わることがあります。これまでの治療法としては、開頭によるクリッピング術や、カテーテルを使ってコイルを詰めるコイル塞栓術がありました。しかし、大きな動脈瘤や、根元が広い(広頚型)動脈瘤では、再発しやすいなどの課題がありました。

■フローダイバーター(FD)とは
フローダイバーターは、こうした従来治療の課題を克服する新しい血管内治療法です。
金属の細かな網目でできたステント状のデバイスを、動脈瘤のある血管(母血管)に留置し、動脈瘤の入り口をふさぐように覆います。これにより動脈瘤への血流を抑え、内部で血液が固まることで、時間をかけて自然に閉塞させていきます(数か月〜2年程度かかることがあります)。この治療の特徴は、母血管の流れを保ちながら、動脈瘤を安全に閉塞へ導ける点です。また、動脈瘤によって神経が圧迫されている場合、治療後に症状が改善することもあります。

■どのような動脈瘤が対象になるか
以下のような動脈瘤がFD治療の主な対象です。

・最大瘤径5mm以上(10mm以上の大型または巨大な動脈瘤を含む)
・入り口が広い(広頚型)動脈瘤
・開頭手術やコイル治療で治療が難しい動脈瘤

一方で、次のような場合は適応外、または慎重な判断が必要です。
・破裂後すぐの動脈瘤(特に14日以内)
5mm未満の小さな動脈瘤

■治療にあたっての注意点
1.抗血小板薬の長期服用が必要です。
脳血管内治療でステントを使用する場合は、血栓を防ぐ目的で抗血小板剤2剤を併用します。FDは通常のステントよりも金属量が多く血栓を生じやすいため、抗血小板剤2剤の内服を治療2週間前から開始し、術前に抗血小板剤の効果判定を行い内服調整を行います。通常は6か月継続し、その後1剤で1年以上の服用が必要です。人によっては長期間の継続が必要になることもあります。 

2.すべての動脈瘤が閉塞するわけではありません
FD治療により多くの動脈瘤は閉塞しますが、1020%の症例では完全に閉塞しないこともあります。その場合も、破裂リスクは低いとされていますが、まれに拡大して追加治療が必要になることがあります。 

3.治療後早期の破裂リスク
特に大きな動脈瘤では、閉塞までの過程でまれに破裂することがあります。このリスクを下げるために、FDに加えてコイルを併用する場合もあります。

■ご相談ください
当院では、新しい未破裂脳動脈瘤治療であるフローダイバーター治療を2023年6月より開始しました。FD治療は、動脈瘤の位置・大きさ・形状・全身状態を総合的に判断して行う、専門性の高い治療です。脳神経外科医が丁寧にご説明し、最適な治療方針をご提案いたします。動脈瘤と診断された方、または治療法についてご不安のある方は、どうぞお気軽にご相談ください。