佐久総合病院 QIプロジェクト2012結果報告

QIプロジェクト2012 佐久総合病院2012 結果報告 (本院のみ)

当院では2011年10月より日本病院会主催 『QI推進事業(QIプロジェクト2011)』 へ参加をしております。全国85施設が参加をし、各施設でQIプロジェクトより指定された指標12項目を分析、その結果を公開し、自院と他院を比較することで各施設の『医療の質』の改善へ繋げていくことを目的としています。

※医療の質(QI:Quality Indicator)とは『根拠(エビデンス)に基づいた医療(Evidence-based Medicine:EBM)』がどのくらい行われているのかを客観的に評価する指標のことです。

佐久総合病院 医療の質(QI)委員会

 

患者満足度調査(外来・入院)結果

QIプロジェクト2012 佐久総合病院(本院のみ)

患者満足度調査(外来・入院)結果

【計算定義・計算方法】

分子:「この病院での診療に大変満足・大変満足または満足している」と回答した外来・入院患者数

分母:患者満足度調査に回答した外来・入院患者数

患者満足度にて、「受けた治療の結果」、「入院期間」、「安全な治療」に対する患者の満足度をみることは、医療の質を測るための、直接的な評価の指標となる重要な一つです。

当院の結果は、全国QIプロジェクト参加病院2012平均値より外来・入院とも満足度が高い結果となりました。

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死亡退院患者率結果

QIプロジェクト2012 佐久総合病院(本院のみ) 2011年10月~2013年3月結果

死亡退院患者率結果

【計算定義・計算方法】

分子:死亡退院患者数(平均50-60件)

分母:退院患者数(平均1200件)

この死亡退院患者率から直接医療の質を比較することは、医療施設の特徴(職員数、病床数、平均在院日数、地域の特性など)と、入院患者のプロフィール(年齢、性別、疾患の種類や重症度など)が異り、正確な比較ができないため適切ではありません。病院医療の質と安全への取り組みの成果を可視化し、そこへ死亡率を反映させることが必要となります。

当院の2012年度死亡率平均値は全国QI参加病院2012平均値より1.9%高い結果となりました。

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退院後6週間以内の救急医療入院率結果

QIプロジェクト2012 佐久総合病院(本院のみ) 2011年4月~2013年3月結果

退院後6週間以内の救急医療入院率結果

【計算定義・計算方法】

分子:退院後6週間以内救急入院患者数(平均70-80件)

分母:退院患者数(平均1200件)

患者の中には、退院後6週間以内に予定外の再入院をすることがあります。その背景として、初回入院時の治療が不十分であったこと、回復が不完全な状態で患者に早期退院を強いたこと、などの要因が考えられます。前回入院と同一疾病で再入院したかどうかは見ていません。再入院の因果関係を判断することは難しいため、この指標は特定の疾病についてではなく、病院全体の質を見ることとしています。

当院の2012年度退院後6週間以内の救急医療入院率の平均値は全国QI参加病院2012平均値より1.16%高い結果となりました。

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入院患者転倒・転落発生率結果

QIプロジェクト2012 佐久総合病院(本院のみ) 2011年10月~2013年3月結果

入院患者転倒・転落発生率結果

【計算定義・計算方法】

分子:転倒・転落発生数(平均30件)

分母:入院延べ患者数(平均20000人)

入院中の患者の転倒やベッドからの転落は少なくありません。原因としては、入院という環境の変化によるものや疾患そのもの、治療・手術などによる身体的なものなどさまざまなものがあります。転倒・転落の指標には、「転倒・転落により患者に傷害が発生した損傷発生率」と、「傷害には至らなかった転倒・転落の発生率」の二つがあります。後者の患者の傷害に至らなかった事例を追跡・原因や要因の分析をすることで、傷害発生予防へつなげることができます。

当院の2012年度転倒・転落発生率の平均値は全国QI参加病院2012平均値より1.25‰低い結果となりました。

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入院患者転倒・転落による損傷発生率結果

QIプロジェクト2012 佐久総合病院(本院のみ) 2011年11月~2013年3月結果

入院患者転倒・転落による損傷発生率結果

【計算定義・計算方法】

分子:損傷レベル4以上(平均1人)

分母:入院延べ患者数(平均20000人)

転倒転落による損傷のうち「レベル4以上」の傷害の発生率となります。レベル4以上の損傷とは、『重度で手術・ギプス・牽引などが必要となった損傷』のことです。損傷レベルについてはThe Joint Commissionの定義を使用しています。「転倒・転落により患者に傷害が発生した損傷発生率」と、「傷害には至らなかった転倒・転落の発生率」両方を追跡することで損傷発生予防の取り組みを効果的に行えているかどうかをみることができます。

当院の2012年度転倒・転落による損傷発生率の平均値は全国QI参加病院2012平均値より0.01‰高い結果となりました。

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褥瘡発生率結果

QIプロジェクト2012 佐久総合病院(本院のみ) 2011年10月~2013年3月結果

褥瘡発生率結果

【計算定義・計算方法】

 分子:院内新規d2以上褥瘡発生数(20-30件)

分母:入院延べ患者数(平均20000人)

褥瘡は、看護ケアの質評価の重要な指標の1つとなっています。褥瘡は患者のQOL(生活の質)の低下をきたすとともに、感染を引き起こすなど治癒が長期に及ぶことにより、結果的に在院日数の長期化や医療費の増大にもつながります。その為、褥瘡予防対策は、提供する医療の重要な項目の1つにとらえられ、1998年からは診療報酬にも反映されています。分子は当該入院期間内に褥瘡を院内にて新規発生した可能性のある患者に限定し、d2以上の褥瘡の院内新規発生患者としています。また、深さ判定不能な褥瘡(DU)・深部組織損傷疑いも含めています。褥瘡の深さについては、日本褥瘡学会のDESIGN-R(2008年改訂版褥瘡経過評価用)とInternational NPUAP-EPUAP Pressure Ulcer Guidelinesを用いています。d2以上の褥瘡とは、真皮までの損傷のことです。

当院の2012年度褥瘡発生率の平均値は全国QI参加病院2012平均値より0.07%低い結果となりました。

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手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率結果

QIプロジェクト2012 佐久総合病院(本院のみ) 2011年10月~2013年3月結果

手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率結果

【計算定義・計算方法】

分子:手術開始1時間以内抗菌薬投与開始患者数(平均190-240件)

分母:予定手術患者数(200-250件)

手術後に手術部位感染(Surgical Site Infection:SSI)が発生すると、入院期間が延長し、入院医療費が有意に増大します。 SSIの予防対策の1つとして、手術前後の適切な抗菌薬の投与があります。手術開始から終了後2~3時間まで、血中および組織中の抗菌薬濃度を適切に保つことで、SSIを予防できる可能性が高くなります。このため、手術執刀開始1時間以内に、適切な抗菌薬を静脈注射することで、SSIを予防し、入院期間の延長や医療費の増大を抑えることができると考えられています。分母の手術患者数は、予定の手術患者に限定。外来手術患者・同一入院期間中に複数回手術の行われている患者・既に術前に感染症を起こしている、または術前2日目までに抗菌薬投与がされている患者は感染が成立していると考え除外しています。

当院では、2011年10月から12月までの結果を踏まえ、手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率の低い原因を追及し、院内体制の見直しを行いました。その結果、2012年1月より投与率の大幅な増加へつなげることができました。また、当院の2012年度手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率の平均値は全国QI参加病院2012平均値より5.5%高い結果となっています。

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手術あり患者肺血栓塞栓症発症率(リスクレベル中リスク以上)結果

QIプロジェクト2012 佐久総合病院(本院のみ) 2011年4月~2013年3月結果

手術あり患者肺血栓塞栓症発症率(リスクレベル中リスク以上)結果

【計算定義・計算方法】

分子:分母のうち肺塞栓症を発症した患者数(2012年度2名)

分母:肺塞栓症発症リスクレベル「中」以上の手術を施行した退院患者数

急性肺血栓塞栓症の死亡率は14%、心原性ショックを呈した症例では30%、心原性ショックを呈さなかった症例では6%です。下肢あるいは骨盤内静脈の血栓が原因とされており、整形外科、消化器外科、産婦人科手術などの術後に安静臥床が長くなった患者では注意しなければならない術後合併症の1つです。肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2009年改訂版)では中リスク以上の場合には、リスクレベルに応じて弾性ストッキングの着用、間歇的空気圧迫法、抗凝固療法の単独あるいは併用の予防方法が推奨されています。

当院の2012年度手術あり患者肺血栓塞栓症(リスクレベル中以上)発生率の平均値は全国QI参加病院2012平均値と同数となりました。

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手術あり患者肺血栓塞栓症予防対策実施率(リスクレベル中リスク以上)結果

QIプロジェクト2012 佐久総合病院(本院のみ) 2011年4月~2013年3月結果

手術あり患者肺血栓塞栓症予防対策実施率(リスクレベル中リスク以上)結果

【計算定義・計算方法】

分子:分母のうち肺塞栓症予防対策実施患者数

分母:肺塞栓症発症リスクレベル「中」以上の手術を施行した退院患者数

周術期の肺血栓塞栓症の予防行為の実施は、急性肺血栓塞栓症の発生率を下げることにつながると考えられています。予防方法には、弾性ストッキングの着用や間歇的空気圧迫装置の使用、抗凝固療法があり、リスクレベルに応じて、単独あるいは併用が推奨されています。肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2009年改訂版)に肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)の予防方法が記載されています。

当院の2012年度手術あり患者肺血栓塞栓症(リスクレベル中以上)予防対策実施率の平均値は全国QI参加病院2012平均値と同数となりました。

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糖尿病患者の血糖コントロール(HbA1c 7.0%未満の割合)

QIプロジェクト2012 佐久総合病院(本院のみ) 2011年1月~2013年3月

一般:№9 糖尿病患者の血糖コントロール

【計算定義・計算方法】

分子:HbA1c(NGSP)の最終値が7.0%未満の外来患者数(平均1200人)

分母:血糖降下薬年間90日以上処方されている外来患者数(平均2500人)

糖尿病の治療には運動療法、食事療法、薬物療法があります。運動療法や食事療法の実施を正確に把握するのは難しいため、薬物療法を受けている患者のうち、適切に血糖コントロールがなされているかをみることとしました。 HbA1cは、過去2~3ヶ月間の血糖値のコントロール状態を示す指標です。糖尿病患者の血糖コントロールは、HbA1cが6.5%以下であれば「良好」とされ、7.0%以下であれば「可」とされます。糖尿病による合併症頻度はHbA1cの改善度に比例しており、合併症を予防するために、HbA1cを6.5%以下に維持することが推奨されています。したがってHbA1cが7.0以下にコントロールされている患者の割合を調べることは、糖尿病診療の質を判断するにふさわしい指標であると考えられます。ただし、種々の事情により、すべての患者で厳格な血糖コントロールを求めることが正しいとは限らないことも忘れてはなりません。

当院と全国QI参加病院の結果より、血糖コントロールに季節変動があることが分かりました。 当院では2012年度になりHbA1cが6.5%以下の良好群が5割を超え、QIプロジェクト平均とほぼ同等となる期間がありました。投与薬の見直し期間を5ヶ月から3~4ヶ月へ早めたことが要因として挙げられます。

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急性心筋梗塞患者に対する退院時アスピリンあるいは硫酸クロピドグレル処方率

QIプロジェクト2012 佐久総合病院(本院のみ) 2011年4月~2013年3月

一般:№10 急性心筋梗塞患者に対する退院時アスピリンあるいは硫酸クロピドグレル処方率

【計算定義・計算方法】

分子:分母のうち退院時処方でアスピリンあるいは硫酸クロピドグレルが処方された患者数(平均97人)

分母:急性心筋梗塞あるいは再発性心筋梗塞の退院患者数(平均100人)

近年の急性心筋梗塞の死亡率の減少において、カテーテル治療の役割が非常に大きかったことは周知の事実です。わが国において、急性心筋梗塞に対してカテーテル治療を行うことは、すでに標準化されているといえます。しかし治療はそこで終わりではありません。必要なことは心筋梗塞を再発させず、心筋梗塞に関連した心血管病での死亡などを防ぐ二次予防です。急性心筋梗塞は通常発症後2~3カ月以内に安定化し、大多数の患者は安定狭心症または安定した無症候性冠動脈疾患の経過を辿ります。心筋梗塞発症後の長期予後を改善する目的で、抗血小板薬、β-遮断薬、ACE阻害薬あるいはアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)、スタチンなどの投与が日本循環器学会ガイドラインにて推奨されています。ガイドラインでは「禁忌がない場合アスピリンの永続的投与」となっていますが、ここでは便宜的に心筋梗塞で入院した患者の退院時アスピリンの処方とアスピリンが禁忌の場合のクロピドグレルの処方率をみています。この処方率は海外の医療の質の評価指標としても採用されており、広く認識された指標であるといえます。

当院の2012年度急性心筋梗塞患者に対する退院時アスピリンあるいは硫酸クロピドグレル処方率の平均値は全国QI参加病院2012平均値より7.5%高い結果となりました。

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