乳腺

特色

 乳がんのかかられた時に心配になるのは、治るかどうか、乳房を残せるかどうか、元の生活ができるようになるか……でしょうか。その希望ができるだけかなうように、適切な治療(標準的治療+新しい治療)について理解できるように、十分時間をかけて説明します。そして御本人の考え、気持ちを基に治療を決めています。
 乳房を残す手術(乳房温存術)の割合は年々60〜80%で、高率に乳房を温存できています。従来の方法に較べて負担や後遺症の少ない新しい診断法、治療法であるマンモトーム生検、センチネルリンパ節生検等も多数に行われ、安全性、確実性が増しました。再発を押さえることが治ることにつながりますので、そのための治療である抗がん剤の治療(化学療法)、ホルモン療法は特に力を入れて行っています。

クリニカルパス

診療内容

 他の病院からの紹介、2次検診、診断治療後の再診は予約制で、3人の専門医が診療を行っています。それ以外の初診は一般外科医が診ますが、検査とカルテは必ず専門医がチェックしています。マンモグラフィは資格を持った女性技士が撮影しています。

 組織診断(病気の最終的な診断)のための検査(生検)には確実性が高く、負担の少ないマンモトーム生検を多く用いています。診断に到るまでの通院回数が減り、時間的、経済的負担が減ります。

 2009年の乳がんの手術数は121例でした。乳がんの手術をすると腕がむくむ(浮腫)ことがありますが、それを最小限にするための方法であるセンチネルリンパ節生検は、2003年から始めました。2005年からは確実性の高い色素・RI併用法を取り入れて、2009年12月までに583例に行いました。成功率は99%以上で、懸念となるリンパ節再発は現在までのところみられていません。

 可能な限り乳房は温存します。温存した乳房からの再発も1〜2%と低く抑えられています。しこりが大きくむずかしい時でも希望があれば、手術前に抗がん剤の治療(術前化学療法)をして、しこりが小さくなれば温存ができます。手術で取り除く部分が大きくなると、温存した乳房が変形してしまいます。変形が少なくなるような方法を現在考案中です。

 再発を減らすために要である化学療法は、最も効果の高いと考えられている治療(FEC→タキソテール療法、TC療法、ハーセプチン等)をしています。通常の日常生活が続けられるように、化学療法はほとんどが通院で、専門のスタッフがおる専用の治療室(通院治療センター)を使って行われます。

 再発した時は、病気をできるだけ長く抑え、治療による負担はできるだけ少なくことを目標にして、御本人といっしょに治療を決めています。