泌尿器科
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診療内容
常勤医師3名で診療を行なっています。
泌尿器科は佐久総合病院の分割にともなって佐久医療センターと臼田の本院の両方で診療を行っており、佐久医療センターでは、手術が必要な疾患の診療を行なっています。2016年は515件の手術を行いました。
当センターは紹介制をとっておりますが、すべての泌尿器疾患をカバーすることはできません。原則的に泌尿器科の開業医の先生で対応できる疾患については、診断から初期治療を担当していただき、その中で高度医療が必要な患者さんを当センターにご紹介いただいております。したがいまして、排尿の異常(頻尿、前立腺肥大症、過活動膀胱、尿失禁など)に対する薬物療法や、二次検診の診療などの、泌尿器一般の診療は原則行なっていませんのでご了承ください。
ご紹介の内容によっては、近隣の泌尿器科開業医などの受診をおすすめすることがあります。何卒ご理解のほど、よろしくお願いいたします。 -
取り扱っている主な疾患
泌尿器癌、尿路結石、前立腺肥大症の手術と、泌尿器緊急疾患の治療を行っています。また、地域の最先端を目指し、最新の医療機器の導入を心がけています。泌尿器科に関連する分野ではPET、強度変調放射線治療装置、軟性尿管鏡、硬性尿管鏡、尿路結石破砕用レーザー、体外衝撃波結石破砕装置、腹腔鏡手術器械などが導入されています。これらの機器を駆使して診療を行なっています。
泌尿器がん治療
腎がん、腎盂がん、尿管がん、膀胱がん、前立腺がん、精巣がんなどの手術を行なっています。標準的な手術はほぼ可能です。
●診療の特徴
治療方針の決定はガイドラインに則り、患者さんやご家族と相談して決めています。
抗癌剤や分子標的薬などの適応決定については、薬物療法の専門家である腫瘍内科の医師とカンファレンスを行い、最善の治療方針を検討の上、患者さんに提案しています。
術前化学療法(手術の前に抗癌剤を投与し、病巣を小さくしてから手術を行う方法)も積極的に取り入れています。
また、放射線療法の適応と考えられる患者さんでは、放射線治療科での治療を行います。●それぞれのがんの診療について
腎癌
手術は従来の開腹の腎摘除術や部分切除術のほか、腹腔鏡手術を取り入れています。腹腔鏡手術は腹部にいくつか穴をあけ、そこから器具を入れて手術を行います。数か所の穴と腎臓を体外に取り出すための6~7cmほどの小さい切開で終了します。腹部を大きく切開する開腹術に比較して術後の痛みが少なく、早期の退院が可能です。
2016年は12例に腹腔鏡による腎摘除術を行いました。腎盂癌、尿管癌
必要に応じて軟性尿管鏡(ファイバースコープ)を用いた画像診断、生検を行なっています。また腫瘍内科と連携して術前化学療法を積極的に取り入れています。
手術は適応のある症例では、腎癌と同様に腹腔鏡手術を行なっています。膀胱癌
痛みの少ない軟性膀胱鏡(ファイバースコープ)を用いて診断を行っています。手術はまずは内視鏡手術(TUR-BT)を行い、病理学的に癌の広がりや深さ、悪性度を診断します。
浸潤癌では、腫瘍内科にて術前化学療法を行なった後に、膀胱全摘除術を行うことがあります。膀胱を全摘した場合には、小腸の一部である回腸を用いて尿路を再建する、回腸導管または回腸新膀胱による尿路変向術を行なっています。
2016年はTUR-BTは89例、膀胱全摘除術は13例でした。膀胱全摘後の尿路変向術は回腸導管造設術が12例、回腸新膀胱造設術が1例でした。前立腺癌
あらかじめMRIを用いて癌の局在を予測後に、前立腺の生検を行い、癌の検出率を高める工夫をしています。当院では腰椎麻酔下に2泊3日の入院で生検を行なっています。
治療は前立腺全摘術のほか、放射線治療科にて最先端の装置(強度変調放射線治療:IMRT)での治療も可能です。尿路結石の手術
2014年の開院時より、腎、尿管の結石に対し体外衝撃波結石破砕術(ESWL)を行なってきました。2016年からは最新鋭のレーザーを用いた経尿道的砕石術(TUL)を開始しました。(経皮的腎砕石術(PNL)は行なっていません)
→詳しくはレーザーを用いた結石の治療をご覧ください。●※尿路結石の手術(ESWL・TUL)につきまして
ESWLやTUL目的のご紹介は、患者さんの混乱を防ぐ理由から、泌尿器科専門医からの紹介に限定します。(遠方から痛み時に紹介され、適応外と判断され苦情を訴える方がいるためです)
尿管結石では、泌尿器科医の数か月の経過観察で結石が下降しない場合に、手術適応を検討しています。また、痛みの急性期にESWLなどの目的のご紹介を受けることがありますが基本的に適応外です。
また大きな腎結石に対しては、初めからPNLのできる施設に紹介することがあります。結石治療は、まずは最寄りの泌尿器科専門医へ経過観察と手術適応の判断をご依頼ください。前立腺肥大症
薬物療法で無効な症例に手術を行なっています。
大きな前立腺もできるだけおなかを切らないで内視鏡下の手術(TUR-P)行なっています。
薬物療法未施行の患者さんの場合は、まずは最寄りの泌尿器科専門医にご相談ください。泌尿器緊急疾患
泌尿器領域の緊急疾患(精巣捻転、腎損傷、尿道損傷、尿路感染による敗血症、腎後性腎不全等)の治療を行います。
必要に応じて他科と共同で診療にあたります。 -
実績
●手術件数(集計期間:図表下部に記載)
手術 2014年 2015年 2016年 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術 68 99 123 腎部分切除術 1 2 0 腎(尿管)悪性腫瘍手術 腎摘除術 8 腎摘除術 14 腎摘除術 7 腎尿管全摘除術 4 腎尿管全摘除術 10 腎尿管全摘除術 8 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 腎摘除術 2 腎摘除術 9 腎摘除術 12 腎尿管全摘除術 1 腎尿管全摘除術 3 経皮的腎瘻造設術 8 5 16 経尿道的尿管ステント留置術 50 110 151 経尿道的尿管ステント抜去術 1 9 8 残存尿管摘出術 1 0 0 経尿道的腎盂尿管腫瘍摘出術 1 1 2 膀胱破裂閉鎖術 0 0 1 膀胱結石、異物摘出術(経尿道的) 5 10 2 膀胱悪性腫瘍手術 回腸導管造設術 6 回腸導管造設術 6 回腸導管造設術 12 回腸新膀胱造設術 0 回腸新膀胱造設術 0 回腸新膀胱造設術 1 膀胱悪性腫瘍摘出術(経尿道的手術) 51 84 89 膀胱瘻造設術 0 0 1 尿膜管摘出術 1 1 0 回腸導管造設術 1 0 0 尿道狭窄内視鏡手術 0 3 1 TVM 1 0 0 陰茎悪性腫瘍手術(陰茎切除) 0 1 0 包茎手術(背面切開術) 0 2 3 包茎手術(環状切除術) 0 3 0 精巣摘出術 1 0 1 精巣上体摘出術 0 2 0 精巣悪性腫瘍手術 5 4 4 陰嚢水腫手術 4 6 3 精索捻転手術 1 2 1 前立腺膿瘍切開術 0 0 1 前立腺被膜下摘出術 0 1 0 経尿道的前立腺手術 7 7 17 前立腺悪性腫瘍手術 5 3 3 前立腺針生検 12 19 31 経皮的腎嚢胞穿刺術 0 1 0 女子尿道憩室切除術 1 0 0 後腹膜腫瘍摘除術 0 0 1 開腹腎生検 0 0 1 後腹膜腫瘍摘除術 0 0 1 後腹膜腫瘍摘除術 0 0 1 創傷処理5cm以上 0 0 1 創傷処理5cm未満 0 0 1 皮下腫瘍的手術 0 0 1 【 ※2014年は 2014.3月-12月、 2015年以降は、1月‐12月 】
●患者数(集計期間:平成27年4月1日~平成28年3月31日)
患者数 人 外来初診患者数 406 新入院患者数 532 ●DPCデータ (入院患者さんが入院期間全体を通じて治療した傷病のうち、最も「人的・物的医療資源を投入した傷病名」です)
主要疾患 件数 膀胱腫瘍 159 上部尿路疾患 117 腎盂・尿管の悪性腫瘍 69 前立腺の悪性腫瘍 40 腎臓または尿路の感染症 29 腎腫瘍 29 下部尿路疾患 18 前立腺肥大症等 17 男性生殖器疾患 13 水腎症(その他) 8 その他 31 計 530 ●泌尿器疾患カンファレンス
信州大学泌尿器科の同門で、地域で活躍されている、当院OBの先輩医師を交え、定期的にカンファレンス(検討会)を行なっています。さとう泌尿器科クリニック院長:佐藤智哉先生、小諸厚生病院泌尿器科部長:小林晋也先生と連携して、教訓的な症例や稀な疾患症例の意見交換、治療方針の検討やアップデートなどの勉強会を行い、知識の共有、地域連携の強化を目指しています。
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医師紹介
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紹介時のお願い
2014年の佐久総合病院の分割に伴い、泌尿器科は佐久医療センターと本院とで機能分化を行なっています。
大変申し訳ございませんが、当院へのご紹介は、原則的に手術目的の紹介に限定しております。排尿の異常(頻尿、前立腺肥大症、過活動膀胱、尿失禁など)に対する薬物療法や、二次検診の診療などの、泌尿器一般の診療は原則行なっていませんのでご了承ください。
●佐久医療センターへご紹介いただきたい例は下記のような疾患になります
※エコーやCTなどで腎臓に腫瘍がある
※エコーやCTで膀胱に腫瘍がある
※外傷などの緊急疾患これ以外は泌尿器科開業医の先生で診断や一部の治療までが可能です。
ご不明な点は地域医療連携課までお問合わせください。何卒ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
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レーザーを用いた尿路結石の治療
尿路結石
まずは尿路結石の説明です。図2、図3は結石の位置による分類を示します。腎臓はおよそ左右の腰に手を当てた位置の内側にあり、ここで尿を作り出し、尿管を通って一時的に膀胱にためられます。
尿には結石を生じる成分が含まれていて、水分の摂取不足や偏った食生活などによって尿路結石が発症します。
腎臓で結石が形成され、そのまま腎臓内に存在しているものを腎結石、尿管に移動したものを尿管結石と呼んでいます。尿管結石は激痛を引き起こすことがありますので有名です。これらをまとめて上部尿路結石と呼んでいます。
一方、膀胱結石は前立腺肥大症や神経因性膀胱などで慢性的に残尿がある患者さんや、膀胱カテーテルを留置中の患者さんなどで、膀胱内で結石が形成されます。まれに上部尿路結石が膀胱に落ち、それを核として膀胱内で大きくなったものもあります。ホウミウムヤグレーザーを使った治療
ホルミウムヤグレーザーはこれらの結石を砕くのに用います。
図4は腎結石を砕く手術(経尿道的砕石術:f-TUL)の様子です。
麻酔の後に、尿道から膀胱~尿管を経て腎臓まで直径が3mm程度の細い内視鏡(軟性尿管鏡:胃カメラのような柔らかい内視鏡で、径がさらに細いもの)を挿入します。
その内視鏡の画面を見ながら、内視鏡の先端からレーザーを結石に当てて砕き、砕いた破片はつまんで体外へ取り出します。結石の大きさや個数によりますが、手術時間は2~3時間程度、入院期間は順調に経過した場合4日程度です。ホルミウムヤグレーザーを用いる手術は3種類あり(図5)、手術は結石の場所や大きさなどで決まっていますが、すべての結石に手術が必要ということではありませんので、専門的な判断が必要になります。(※まだ当院ではPNL用の内視鏡がないため、PNLはやっておりません)
尿路結石でお困りの方は、まずは最寄りの泌尿器科の先生に受診し、相談をしてみてください。