放射線診断科

  • 診療内容

    特色

    放射線診断科は、CT、MRI、PET/CT、SPECT/CTなど最新の機器を用いて、画像診断を行なっています。

    診療内容

    ●画像診断の進歩

    画像診断は、近年目覚ましく進歩しています。
    CT、MRI、PETなど、主流となっている検査は30年ほど前から行われてきましたが、最近の数年間で急速に高度化し、高性能の装置が多くの病院に普及しました。
    情報工学などの進歩に伴い、画像の精度が向上し検査時間が短縮されてきました。これら主要な画像診断法の発展と普及によって、画像診断が診療に占める比重は、従来以上に大きくなり、現在の医療において、画像は不可欠なものとなっています。

    ●放射線診断医の役割

    画像診断の進歩によって、早く正確に疾患の診断ができるようになり、適切な治療選択がなされるようになりました。
    放射線診断医はその中心的な役割を果たしています。
    検査で得られる画像の種類や数量は年ごとに増加しており、患者さんを前に診療を行っている各診療科の医師が、それらの画像をくまなく評価することは困難です。
    したがって画像を的確に評価して診断する放射線科医の責任は重大になっています。
    放射線科医は、病気の診断や治療について病院内の各科の医師たちと常にディスカッションしています。各科の医師が専門的な立場から経験や知識を出し合って、患者さん中心の診療を実践しています。
     

    ●放射線診断医の取り組み

    当院では、3名の放射線診断専門医が診療に従事しています。安全かつ円滑に検査を実施し、適確な画像診断を行うことを、第一にしています。
    当院は病診連携を重視しています。院外から紹介していただく患者さんには、高機能診断センターを通して検査を実施しています。
    スムーズに検査を受けていただく仕組みを構築し、スタッフは患者さんが不安を感じずに検査を受けていただけるよう心がけています。
    紹介して頂いた患者さんの検査報告書は、画像とともになるべく早く紹介して下さった医療機関にお返ししています。
     

    ●画像診断を生かした治療を行なっています

    RI内用療法(内照射療法)を行なっています。
    この治療は、病巣に指向性のある薬品に細胞を破壊する放射線同位体(RI)を結合させた治療薬を患者さんに注射あるいは内服していただき、病巣だけを治療する技術です。
    バセドウ病や癌(がん)など甲状腺疾患の治療、骨転移の疼痛に対する疼痛緩和、悪性リンパ腫に対する治療を行っています。
    詳しくは、実施している主な検査と治療をご覧ください。
     

    実施している主な検査と治療

    ●CT検査

    最新型のCTで短時間で高精度の検査を行います。
    320列CT 2台、80列CT 1台のCT装置を装備しています。320列CTは、全身の検査を行いますが、心臓の精密検査には特に威力を発揮します。動きのある心臓を高速かつ広範囲に撮影できるため、冠動脈の狭窄などを正確に診断できます。

    ●MRI検査

    3T(テスラ)のMRIが2台、1.5TのMRIが1台で検査を行なっています
    脳梗塞や脳腫瘍など脳神経疾患、肝臓や膵臓など腹部の疾患、婦人科領域や前立腺など骨盤内の疾患、骨や関節などの疾患の診断には、特に有用な検査です。MRIは造影剤を用いずに血流を見ることができるため、動脈瘤や動脈の狭窄の検出に役立ちます。3T の装置は1.5Tよりも精密な画像が得られ、より正確な診断が可能です。病巣の性質や状態をより詳細に診断する新しい手法が開発され、病巣の生化学的な分析や組織の潅流や拡散などの指標から腫瘍や血管障害の診断を行います。

    ●PET/CT検査

    PET-CTは主に癌(がん)の診断に使われます(詳しくはPETの保険適用を参照して下さい)。
    がん細胞はブドウ糖をたくさん消費して増殖や転移をする特徴があります。ブドウ糖に放射性核種(RI)のフッ素(18F)を結合させた診断薬(FDGといいます)で全身のがんを診断します。腫瘍の広がりや転移を診断して治療方針に役立てたり、再発の有無を検索したりするのに有用です。検査の手順はPET/CT検査を受ける患者様へをご覧ください。
    その他、心筋サルコイドーシスの病変検出や、虚血性心疾患の心筋バイアビリティの検出にも使われます詳しくは心筋サルコイドーシスPET検査を参照して下さい
    当院では、保険適応がない疾患でFDG-PETが役立つ疾患に対してもPET検査を行っています。これまでの数多くの経験から有用性が確かめられている疾患を対象としています。説明と同意が必要で、外来診療で検査を実施する患者さんからは、検査費用をいただいています(詳しくは非保険適用PETを参照して下さい)

    PETの保険適用(451.6KB)

    ●SPECT/CT検査

    前述のPET/CT以外に、放射性核種を標識した診断薬で臓器の機能や疾患の診断を行います。脳血流SPECTは認知症のタイプを診断するのに役立ちます。心筋血流SPECTは狭心症や心筋梗塞の治療方針の決定に役立ちます。その他、骨転移の診断、腎機能や肺血流の評価など、たくさんの検査があります。(詳しくは核医学検査を参照してください)

    核医学検査(118.9KB)

    ●RI内用療法(画像診断の原理を活かした治療法です)

    RI内用療法(内照射療法)を行なっています。この治療は、細胞を破壊する放射線同位体(RI)を患者さんに投与して、病巣だけを治療する技術です。画像で病気の部位を診断できることを、治療に応用したものです。バセドウ病や甲状腺がんの治療、骨転移の疼痛に対する疼痛緩和、悪性リンパ腫に対する治療を行なっています。
    バセドウ病甲状腺がんの治療は、131I(ヨード131)という放射性のヨードを用います。131Iは海藻類に含まれるヨードと同じように甲状腺の細胞に取り込まれます。取り込まれた131Iは、β線という放射線を放出します。この放射線が腫大した甲状腺や甲状腺がんの細胞を破壊します。
    骨転移の疼痛に対する疼痛緩和には、89悪性リンパ腫の治療は、低悪性度B細胞性リンパ腫という種類の悪性リンパ腫に対して、90Y (イットリウム90)という放射性同位体を、リンパ腫細胞に結合する性質のある抗CD20抗体という物質に結合させた、ゼヴァリンという名前の薬品で治療を行います。
    Sr(ストロンチウム89)という放射性核種を用います。メタストロンという名前の薬品です。ストロンチウムは、カルシウムと似た性質のため、がんの骨転移の部位に取り込まれ、そこでβ線を出して、骨転移の痛みを和らげます。
     

    診療実績

    主な検査機器

    ・CT          320列が2台(Aquilion ONE)
    ・MRI         3T2台(Discovery MR 750W)、1.5Tが1台(Signa)
    ・PET/CT      1台(Discovery 710)
    ・SPECT/CT    1台(Symbia T6)
    ・サイクロトロン(HM-12)
    ・FDG自動合成装置および多目的合成装置
     

    診療担当表

    スタッフ紹介

    ●内用療法をご紹介いただく際のご案内

    内用療法とは…

    RIを結合した薬品を体内に投与して治療を行うのがRI内用療法で、内照射療法とも呼ばれます。使用する薬品は病巣だけに集まる性質があり、正常臓器への障害が少ないのが特徴です。
    バセドウ病に対するヨード(131I)治療は、内科的治療でコントロールが不十分な場合や副作用で治療を継続できない場合、手術後の再発の場合に最適な治療法です。
    甲状腺がんで甲状腺の全摘術を行った場合の131Iによる残存甲状腺破壊(アブレーション)を行なっています。
    骨転移の疼痛に用いるメタストロン(89S)という薬品は、骨転移巣に指向性があり、数ヶ月間痛みを和らげます。
    低悪性度のB細胞性リンパ腫の治療にゼヴァリンという薬品が使われます。再発または難治性の場合が適応で、Bリンパ球の表面抗原CD20に結合する抗体にRI(90Y)を結合させた薬品による治療です。この治療は当センターの血液内科に紹介してください。
    内用療法は、いずれも適応症の中でなるべく早い段階で行う方が効果的です。放射線物質を用いるため、治療の際には本人および家族に対する注意があります。専門医が診察の際によく説明して治療を実施します。

    ●バセドウ病

    ① 放射線診断科を受診して治療を行う場合
    地域医療連携室(TEL: 0267-88-7316)を通して放射線診断科にご紹介ください。診療日は診療担当医表の通りです。
     
    ② 放射線診断科を受診せずに治療を行う場合
    地域医療連携室(TEL: 0267-88-7316)を通して核医学検査室(TEL:0267-62-8181 内線2553)にご連絡ください。担当医が治療のスケジュールをご相談いたします。通常は2週間のヨード制限と抗甲状腺剤など治療薬の中止後に123Iの甲状腺摂取率を測定して治療を行います。

    ●甲状腺がん

       アブレーション
    転移のない分化型甲状腺がんで甲状腺全摘後に行います。地域医療連携室(TEL: 0267-88-7316)を通して放射線診断科にご紹介ください。診療日は診療担当医表の通りです。詳細は外来アブレーションを参照してください。
     
       再発・転移の治療
    RI治療病室に入院して治療を行う必要があります。当院では行なっていません。

    外来アブレーションのチェックリスト(181.2KB)

    ●骨転移の疼痛緩和

    固形がんの骨転移による疼痛のコントロールが不十分な場合がこの治療の適応で、その他にも必要な適格条件があります。詳細は骨転移の疼痛緩和療法を参照してください。外来で治療を行い、一回の静脈注射ですみます。
    地域医療連携室(TEL: 0267-88-7316)を通して核医学検査室(TEL:0267-62-8181 内線2553)にご連絡ください。担当医が治療のスケジュールをご相談いたします。

    骨転移の疼痛緩和療法(128.8KB)

    ●悪性リンパ腫

    再発および難治性のCD20陽性の低悪性度B細胞性リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫が適応です。その他にも必要な適格条件があります。詳細は悪性リンパ腫の内用療法を参照してください。
    地域医療連携室(TEL: 0267-88-7316)を通して血液内科にご紹介ください。

    悪性リンパ腫の内用療法(115.5KB)

    お知らせ

    ●放射線診断医を募集しています。

    佐久総合病院グループは長野県東部の基幹病院として、地域の医療を担っています。平成26年3月1日にオープンした医療センターは、がん診療センター、脳卒中・循環器病センター、周産期母子センターならびにドクターヘリを運用する救命救急センターを擁し、高度な専門医療に対応する放射線診断を行なっています。
    診断専門医3名が月間でCT 2,500件、MRI 900件、PET/CT170件、SPECT/CT150件の検査を実施しています。血管造影検査ならびにIVRは、当該科の医師が実施しており、心カテを含めて180件です。検査件数が多いため、専門性や興味を優先し、遠隔画像診断を併用して無理のない読影体制をとっています。学会や研究会への参加を奨励しています。
    内用療法も行なっています。ゼヴァリンによる悪性リンパ腫の治療の他、131Iによるバセドウ病や甲状腺癌(アブレーション)の治療および90Srによる治療を実施しています。
    日本医学放射線学会の放射線科専門医修練機関ならびに日本核医学会専門医教育病院に認定されていますので、専門医を目指す若手の先生も大歓迎です。
    連絡をお待ちしています。

                     放射線診断科(TEL:0267-62-8181 内線2550)

  • 取り扱っている主な疾患

  • 実績

    平成27年度実績(集計期間:平成27年4月1日~平成28年3月31日)

    ●検査件数

    検査種 外来 入院 総計
    CT 16,860 5,885 22,745
    MRⅠ 7,916 1,705 9,621
    PET 1,265 93 1,358
    RI 1,084 340 1,424
    マンモグラフィー 3,694 41 3,735
    一般撮影 40,540 26,308 66,848
    血管造影 788 1,550 2,338
    他院検査 6,323 890 7,213
    透視 1,215 1,733 2,948
    総計 79,685 38,545 118,230

  • 医師紹介

  • 紹介時のお願い

    紹介時のお願い

    ●検査をご紹介いただく際のご案内

    検査のご依頼は、高機能診断センターにご予約ください。(TEL: 0267-88-7956)
    詳細は高機能診断センターのページをご覧下さい。(詳細はこちらwww.sakuhp.or.jp/ja/clinic/2215/002143.html